海が見える街 大磯町石神台

シニア街道24、新作能 劇場版「まそ」

さる2023年1月15日小田原三宮ホールで行われた新作能 「まそ」を見てきました。

1、作成事情
企画者の台湾の友人の要望を受け、台湾の道教の女神「まそ」の支援で都から九州筑紫迄の航海を成し遂げる物語の新作能です、

パンフレット 海上にせり出した舞台で舞うように錯覚させ多くの観客を呼ぶ?私もその一人

小田原の山の中腹にある江之浦測候所からの風景に着想を得て筋書きが作られました。
企画演出片山九郎右衛門、原作玉岡かおる、出演片山九郎右衛門野村萬斎他、映像監修杉本博司、能面制作見市泰男、プロモーションビデオ鈴木こころ
「まそ」は道教の海の安全を守る女神として中国沿岸部や東南アジアで広く信仰され、日本の横浜中華街にも大きな廟が有ります。

中華街には関帝廟とまそ廟があります

2、一般のホールでの開催のためにスクリーンを使った劇場版への改変
京都で行った原作能は能楽堂で主に能楽ファン向けに舞われて来ました。

通常、能公演は能舞台で行います

今回は小田原三の丸ホール一周年記念として一般のホールで多くの一般観客向けに「劇場版」として公開されました。ホールの収容人数は1105人です。
能舞台は使えないので江之浦の海上風景などを写したスクリーン画面の前で荒海を航海する船、それを守る「まそ」の躍動を表現する新趣向で能が舞われました。
3、筋書き
今から年前の天平時代、赤人は常陸国より都に戻る途上風待ちのため、小田原江之浦により、海難を予知し人々を救うという黙姫「まそ」と知り合い、諸国に百万灯を収めたいと願う天皇の命をうけ共に船に乗り九州の筑紫に向かうが途中嵐に遭遇します。

小田原、根府川駅を登った中腹にある江之浦測候所にある海にせり出した能舞台

しかし「まそ」の大活躍のおかげで無事切り抜け到着し春日大社の神と喜び共に舞います
4、クラウドファンディング
脚本、能面の作成、舞台スクリーン作成、プロモーションビデオなど劇場版を含め上演には多くの費用がかかり、そのためクラウドファンディングで資金を調達しました
1100万円の目標に対して1500万円の収入を得て完成することができました
5、私が惹かれて観に行った原因
 1、海上で舞う姿のパンフレット
   海にせり出した舞台を背に能楽を舞う仮想の景色にひかれた
 2、田舎者であった父の趣味、謡の懐かしい思い出 

右端側が父 塚本平八郎 茨城県潮来市の農家の次男、東洋製罐に勤務大田区雪が谷に住む

6、感想 やや不満
物語性が少なく脚本に魅力がなかった。
謡の内容を聞き取ることも出来ず、話の筋を追えなかったが太鼓、笛、地謡は聞こえたので退屈はしなかった。右隅に日本語で進行内容を表示してあったがすぐ消えて把握出来なかった。パンフレットの効果か、ほぼ満席であった。
7、初めて行った小田原三の丸ホール
 小田原城の横、廊下木製、席は傾斜があり前の人の上から舞台が見えてとても良い、出たところに喫茶室があり便利、音響効果もよく素晴しいホールであった

8、オペラに近づくにはどうするか?
 オペラ:出演者それぞれが自分の声、姿で動作 2から4幕毎に背景のセットが変わる
 能:出演者は声を出さない 地謡の人の謡で間接表現  背景 当初設定通り

シニア街道NOを全国版にあわせ24にしましたので22,23は欠番になります。